プロンプトエンジニアリング中級編〜AIに論理的思考をさせる技術〜
こちらの記事「プロンプトエンジニアリング初級編」

初級編でプロンプトの基礎を覚えたあなたへ。

「AIがもっと賢く答えてくれたらなぁ」

「複雑な問題もちゃんと考えて解決してほしい」
そんな風に思ったことありませんか?
実は僕も副業でAIを使い始めた頃、

「最初と最後で言ってることが違う…もっと深く考えてくれよ」
って何度もイライラしました。
初級編の技術だけでも確かにAIの精度は上がるけど、
さらに複雑なタスクになると途端に壁にぶち当たるんです。
でも中級編の技術を覚えてからは、AIが人間みたいに「順序立てて考える」ようになった。クラウドワークスでも「この人、AIの使い方が他と全然違う」って評価されるレベルになりました。
今回は、AIの思考プロセスを操る応用技術を解説します。
AIの弱点を理解する

まず、AIの弱点を知っておきましょう。これを理解しないと、なぜ中級技術が必要なのかが分からない。
AIが苦手なこと
・複雑な推論を一度にやること:多条件の突き合わせや、前提→推論→結論の積み上げ
・論理的な順序を保つこと:途中で筋道が逸れがち
・最新情報を知ること:学習データの限界(最近はweb検索機能が標準なので大幅改善)
・複数の選択肢を比較検討すること:一つの答えに固執しがち
例えば、「この3つの投資商品のうち、どれが一番リスクが低くて利回りが良いか分析して」って聞いても、AIは途中で計算を間違えたり、論理が飛んだりします。
人間もいきなり答案を書かず、下書きやメモで考えますよね。
あれをプロンプトで誘導するのが中級編の技術なんです。
でこれらの弱点は「技術」で克服できる。
それが今回紹介する4つの手法です。
Chain-of-Thought(CoT):AIに段階的に考えさせる

CoTは、AIに「思考プロセス」を段階的に出力させることで、
複雑な問題の正答率を向上させる技術です。
結論だけでなく、そこに至るまでの考え方をしゃべってもらう、
というイメージ。
従来の方法(ダメな例)

YouTube台本作って

はい、こんな台本はいかがでしょう…
これだと、AIがいきなり結論を出すので、
途中の思考プロセスが見えません。
しかも論理破綻してることがある。
そしてそれを平然と自信を持ってお勧めしてくる。
CoT適用版(良い例)

次のテーマで、結論に至る思考過程をステップごとに可視化してから本文を作って。
ステップは『視聴者の痛み→原因仮説→解決策の骨子→反論と担保→まとめ』。
各ステップを2〜3文で。最後に全文を組み立てて。

まず視聴者の痛みを分析します:副業を始めたいが何から手をつけていいか分からない…
次に原因仮説:情報が多すぎて選択肢を絞れない、失敗への恐怖…
解決策の骨子:小さく始める、成功事例を参考にする…
(以下続く)
この方法で、AIが”それっぽい文章”を出力する前に、
考えのスケルトンを吐き出すので、ズレが早期に見えます。
(最近だと内部でやっちゃうことも多いので見えないケースもあります。)
途中で「その原因は薄いから別仮説で」と差し替えも効くし、
無駄な書き直しが激減。
実際に僕が使ってるCoTプロンプト
# 役割
あなたは論理的思考が得意なYouTube台本ライターです
# 命令
以下のテーマで台本をステップバイステップで作成してください
# 思考手順
1. 視聴者の痛み・悩みを3つ特定
2. 各痛みの根本原因を分析
3. 解決策を論理的に導出
4. 反論への対処法を検討
5. 最終的な台本構成を決定
# 各ステップで以下を明記
– なぜそう考えるのか(根拠)
– 他の選択肢と比較した理由
– 次のステップへの論理的つながり
# テーマ
[具体的なテーマを入力]
これを使うようになってから、
クライアントから「論理破綻がない」「筋道が通ってる」って
評価が激増しました。

キーワードは「ステップバイステップ」です
Tree-of-Thought(ToT):複数の選択肢を比較させる

CoTが「一本道の思考」なら、ToTは「複数のルートを同時に探索」する技術です。一つの考えに固執させず、候補を並べて評価させる。創造性が必要な企画や、正解が一意に決まらない課題に強い。
ToTの実践例
# 命令
新サービスのマーケティング戦略を3つのアプローチで検討してください
# 検討方法
1. 各アプローチの戦略を詳しく説明
2. メリット・デメリットを自己評価(10点満点×3観点)
3. 実行難易度と期待効果を分析
4. 最終的に最も推奨する戦略を選択し、理由を説明
# 評価観点
– ターゲット適合度
– 実行可能性
– ROI期待値
# アプローチ
– SNSマーケティング重視
– インフルエンサー活用
– コンテンツマーケティング
分岐→評価→統合の”自走”を一回の対話の中で完結できるのがToTの強み。CoTは”深さ”、ToTは”幅”を担保、と覚えると使い分けやすいです。
使い分けの指針と落とし穴
使い分けのコツ:
・計算、手順が決まっている→CoTで深掘り
・複数案から最善を選びたい(企画、構成、コピー)→ToTで分岐評価
・両方併用が最強:ToTで幅出し→選んだ枝にCoTで深さを出す
注意点:
・思考過程をそのまま納品しない。中間生成物は自分のチェック用にしましょう⇨途中段階のものを納品されても評価は上がらんすよ
・自己評価の観点は先に定義する。曖昧だと”自画自賛”になる
・ファクトチェックを別工程で必ず回す⇨どんなのCoTで精度が良くなったとしても、最後に責任を取るのは人間です
プロンプトチェーン:複雑な作業を自動化する

「一発で完璧」は捨てて、工程を分割→各工程の出力を次工程へ渡す。
これがプロンプトチェーン。
例えば僕は、Claudeのプロジェクトで、
- ゆっくり台本を作成するプロジェクト
- ↑で出てきたものをスプシに1発で貼り付けられるように体裁を整えるプロジェクト
というふうに分業してました。もう少し細分化してもよかったかも
大物案件ほど、一工程ずつ合格させるほうが速くて安全。
僕の体感でも、チェーン化すると修正回数が減り、
納品までのリードタイムが安定します。
副作用として”途中で合格基準を共有できる”ので、
クライアントとの齟齬も早期に潰せる。
プロンプトチェーンのメリット
・複雑タスクの分割処理:一口サイズに分けるとバグが見つけやすい。全部できてから確認!じゃなくて、途中の工程で人の目が入るから、ミスを見つけやすい
・ログが資産化:どの工程でズレたかが残る。再現性が上がり、別案件に横展開できる
チェーン例:YouTube企画〜台本作成の自動化
ステップ1:企画立案
# 役割:企画プランナー
# 命令:ビジネス系YouTubeチャンネル向けの動画企画を5つ提案
# 条件
– ターゲット:副業初心者
– 再生時間:10分程度
– トレンド性:現在注目されているテーマ
# 出力形式
企画タイトル、概要、想定される視聴者の悩み、解決策の方向性
# 合格基準
視聴者ニーズとの適合、差別化要素の明確化、実現可能性
# 次工程への引き継ぎ
選択した企画の要点を300字で要約
ステップ2:選択した企画の詳細設計
# 役割:構成ディレクター
# 入力:[ステップ1の出力結果を貼り付け]
# 命令:詳細な動画構成を作成
# 構成要素
– フック(最初の15秒)
– 問題提起(視聴者の悩み)
– 解決策3つ(具体例付き)
– まとめとCTA
# 合格基準
視聴維持率の考慮、論理的な流れ、エンゲージメント設計
# 次工程への引き継ぎ
構成の要点と注意事項を300字で要約
ステップ3:台本作成
# 役割:台本ライター
# 入力:[ステップ2の出力結果を貼り付け]
# 命令:実際の台本を作成
# 台本要件
– 話し言葉で自然な流れ
– 視聴者への問いかけを3箇所に配置
– コメント誘導の仕掛けを含める
# 合格基準
0:00〜の時間表記、自然な話し言葉、エンゲージメント要素
# 最終チェック項目
誤字脱字、論理破綻、時間配分の確認
各ステップの末尾に「次工程への引き継ぎ要約(300字)」を必ず付与すると、鎖が切れません。
実運用のコツ(失敗しないために)
・合格基準は”見える化”:箇条書きで明文化。ふわっとした”良い”は禁止
・ステップを欲張らない:長くても5工程。長すぎると管理コストが増える
・途中合格の段階でクライアント承認:後戻りを最小化
ReAct:AIに最新情報を調べさせる

モデルの中にない最新情報やニッチ知識は、いくらプロンプトを工夫しても出てきません。そこで効いてくるのがReActフレームワーク。”考える(Reasoning)→外部で調べる/操作する(Action)→また考える”を交互に回す設計です。
これにより、LLMの得意な要約/推論と、外部の検索・データ参照の強みを合体。僕はGensparkや検索エージェントを噛ませて、”考え方の骨組み”と”調べ先の範囲”をプロンプトで指定する運用にしています。
ReActフレームワークとは(ざっくり設計)
基本の流れ:
- 思考:問題の分解、足りない情報の特定、仮説立案
- 行動:検索/資料取得/社内DB参照などの具体アクション
- 観察:得られた情報の要点抽出、信頼性評価
- 思考:仮説の更新、次のアクション決定 or 最終結論
プロンプトの型:
# 役割
あなたは市場調査の専門家です
# 命令
「AI画像生成ツール」の市場動向を調査し、レポートを作成してください
# 調査手順(ReActフレームワーク)
1. 【思考】現在知っている情報を整理
2. 【行動】最新の市場データを検索
3. 【思考】検索結果から重要なポイントを抽出
4. 【行動】競合他社の動向を追加調査
5. 【思考】全体的なトレンドを分析
6. 【結論】今後の市場予測をまとめ
# 各ステップで以下を明記
– なぜその行動を取るのか(根拠)
– 得られた情報をどう解釈するか
– 次に何を調べるべきか(採否基準)
# 出力形式
調査プロセス→主要な発見→市場予測→推奨アクション
この”採否基準”を先に決めるのがミソ。拾ってきた情報を無批判に採用しないフィルターになります。
具体的な適用例
- デジタルマーケ:最新トレンド/競合比較/類似キャンペーンの結果と失敗要因の抽出→施策案の優先順位付け
- B2Bリサーチ:業界統計の一次ソース、主要プレイヤーの決算・IR、技術ロードマップの要点整理→戦略メモ化
- 台本制作:コメント欄/掲示板の生声を拾って”反論と担保”のパートを強化→エンゲージメント設計
どれも「内部の言い切りだけでは弱い」場面。ReActで外の事実を持ち込み、主張を補強します。Gensparkの検索機能と組み合わせることで、リアルタイムな市場情報を含んだレポートが作成できます。
セキュリティ・コンプラ注意
- 機密情報は持ち出さない:匿名化・要約で”外に出す粒度”を下げる
- 出典は一次情報優先:ニュースやブログは”参考”として明示。リンクを残す
- AI利用の開示を前提に:クライアントのAIポリシーに合意し、最終責任は人間が負う運用で
この3点を事故ると、一発で信用を落とします。運用ルールを先に決めて共有しておくのがプロの仕事です。
まあちなみに自分でネットで調べて信憑性の高い記事を見つけてきてAIに渡す、なんて技もあります。超初心者はこっちの方がいいかも。コピーコンテンツディテクターは必ず使ってね
中級技術の組み合わせ活用

これらの技術は単体で使うより、組み合わせると威力を発揮します。
実際の案件での組み合わせ例
企業のデジタル変革コンサル案件
- ReActで最新のDX事例を調査
- ToTで複数のアプローチを比較検討
- CoTで選択したアプローチの実行計画を論理的に構築
- プロンプトチェーンで提案書を段階的に作成
こんな感じ。適材適所で使っていきたい概念ですねえ
今日のまとめ

中級編のキモは「段取りと検査」です。
- 思考を段階化(CoT)し、幅を出して自己評価(ToT)→最良案に深さを出す
- 工程を分割してチェーン化。各工程に「合格基準」と「引き継ぎ要約」を必ず付ける
- ReActで外部情報を取り込み、主張を事実で補強。採否基準と出典ログを残す
この3点が入るだけで、仕上がりの安定感が段違いになります。副業を継続するうえで、この安定は正義です。AIとの協働レベルが一気に上がり、クラウドワークスでも「この人のAI活用スキルは他と違う」と評価され、高単価案件を任されるようになります。
初級編の基礎があってこその中級編。しっかりと実践を重ねて、自分なりのパターンを見つけてください。
